歯科の居抜き物件見極めのポイント
居抜き物件ってご存じですか?
もちろん知っているドクターも、詳しくは分からないと思われる歯科医師も
「いぬき」って読むのと初耳の先生もおられるかも知れませんね。
一般的に居抜き物件とは
前の人が使用していた当時の状態のまま、看板などの付け替えのみで開業できる状態のことを言います。
でも、それは歯科の素人が判断した物件で
実際にそのまま開業出来れば良いのですが、そうでは無いケースが多いです。
どんなケースがあるかというと
1. 前の人がものすごくイメージが悪い
2. 事件があった物件
3. 管理状況がものすごく悪い。
4. 環境が悪い
5. 大規模な改装が必要となる。
などがあります。
3、4は一般のテナントを探す時でも必ずチェックする事です。
そのまま開業出来れば、内装費も浮きますしチェアーや備品などが揃っている所でしたら、更に楽に開業出来ます。でもよく考えて欲しいのが「なぜ撤退したのか?」と言う事。
撤退するにはそれなりの理由があるからです。
1〜5のポイントは撤退する理由を実は書いているだけです。
1. 前の人がものすごくイメージが悪い
この場合、余程変わった事をアピールするかその地域外から集患をする必要があります。
俺なら、私なら出来るというのは先生の思い込みであって
その周辺の患者さんの気持ちを変えるのは容易ならざる事です。
逆に食中毒があった料理屋さんに名前が変わったからと言うだけで「積極的に行こう!」と思いますか?
正面のデザインや看板も全て変わったとしても「ここ昔食中毒があったんだよね。だから潰れて別の人が入ったみたい」と、とてもマイナスのイメージが出来てしまいます。
これを覆せるだけの根拠を先生が用意出来るか?と言う事になります。
2. 事件があった物件
これも1と似たイメージですね。
なぜ撤退したのか?そこを地元の人に聞いて噂話でも教えてもらえればラッキーです。
3. 管理状況がものすごく悪い
これは建物やビル全体の管理状況です。居抜き物件の場合、殆どがテナントの形態を取っていると思います。
ですので、廊下やエレベーター・ビル自体のメンテナンスがキチンと行われているか?がポイントになります。
それをキッチンしてもらうために共益費を支払うわけです。
住人や他のテナントが共益費を払っているにもかかわらず、キチンと掃除など管理されていない所は避けた方が良いでしょう。また、オーナー直の物件も長い目で見ると避けた方が良いです。
そのオーナーさんに何かあった時、しかるべき不動産屋や管理業者がいないと
文句すらも言えなくなるからです。
4. 環境が悪い
これは周辺の状況や、マンション内のテナントの場合だと済んでいる人の層ですね。
先生がどんな患者さんを見たいか?そのターゲットが曖昧のまま、値段が安く済みそうだからと言う理由だけで、やりたい治療と違う患者さんが集まっている所での開業は一番やってはいけない事です。
それこそ、また居抜き物件を作るだけで、仲介業者や関連業者を儲けさせるだけです。
どんな患者さんに来て欲しくて、どういう治療をしたいのか?
それを第一優先に考え、それから地域を特定していくのがセオリー。
治療には全くこだわりがなく、どんな場所でも出来き、なおかつ環境に合わせる事が得意な先生なら居抜き物件はオススメかも知れません。でも、そういった天才的な才能を持つ先生はあまり見た事がありません。
5. 大規模な改装が必要となる
一見、居抜き物件だと改装費が安くなるイメージがあるかもしれなですね。
でもそうでも無いパターンが現実的には多いです。
歯科医院を改装する時は、新規開業より高くなります。
なぜなら撤去費がかかるからです。
居抜き物件も同じで、歯科として開業してから何年経っているか?で内装費用が変わります。
新しい物件で、先生の治療スタイルと似ていれば比較的安くする事は出来るでしょう。
でも、古いとそれだけで時代遅れのイメージが付きます。
それに内部配管や入り口のドアや、窓関係も古くなっています。
悪いところだけを直せば…と思っていたら
結局全部やり替えになってしまう。
そういうケースは多々あります。
それでも使えるところがあったりすると…
解体業者をいれて全部潰す事が出来なくなります。
内装業者がキレイに、部分的に潰します。
またチェアーやX線関係が残っていると、どこかに保管しておくか
保管場所がない場合、養生して壊さないように工事をしなければなりません。
こうなると改装より余計に費用がかかります。
これからの時代、こういった居抜き物件の情報は多くなっていると思いますし
そういう業者も更に出てくると思います。
安易に考えるのではなく、
しっかり先生の見方となってアドバイスがしてくれる所も確保しておく必要があります。
一般的に言われる居抜き物件の様に
前の人が使用していた当時の状態のまま、開業できれは本当に良いのですが
殆どの場合そう上手くは行きません。
色々な角度から、開業を考え
先生にベストな方法を考えていきましょう!