佐治歯科医院 改装工事(神戸市東灘区)
10年前から受け取ったバトンを、15年先へ渡す。そんな内装工事
佐治歯科医院
この歯科医院は10年前にかなりこだわってデザインした物件でした。
それから10年。
「横のテナントが空いたから拡張を考えている」との要望がありました。
当初は、部分改装の話で進んでしました。
因みに開業当初は18坪。
しかも1メートル角の柱が3本も!
当初は「不可能だ!」と思いましたが、それでも形にしたのを思い出します。
今回の拡張工事は
ドクターのお母様の要望により全面的な改装になりました。
10年前とは思えず、現在でも十分通用するようなデザインだったので、
これを大改装となると「次はどのようなデザインにしようか?」
と非常に悩みました。
その気持ちは先生も同じでした。
「矢根さん。これよりインパクトのある医院って出来るのでしょうか?」
と笑いながら言われました。
ただ費用に関しては、そこまで制約がなかったので、
今までの概念は一度無くし、ゼロベースから考えました。
ですので。基本機能そして導線を設計するだけでも
2ヶ月に及ぶ平面図のすり合わせをしました。
その中で不意に「イメージはティファニーみたいにしたい」
との要望が上がったのでした。
実はこの医院は私の未来の指標にもなっております
前回の時もそうだった。
ここをデザインするときはいつも15年先を考えてデザインします。
極端な言い方をすると今、雑誌に出ている歯科医院は最先端の流行りのデザイン。
しかし、流行りがあると言う事は必ず、廃れるのです。
今の最先端と言う事は、10年先の最先端には100%負けます。
懐メロのテレビを見て、時代遅れのファッションで歌っている歌手と同じですね。
でも、その当時は最先端だったと思うのです。
しかし私の場合は逆で過去300年位の歴史を振り返り、
そこからどのようなデザインの移り変わりがあったのか?
そして色の変化があったのか?
そこの時代背景はどうだったのか?
そういったことを考慮し未来予測を立てます
一例を言うなら、景気の良い時はモノトーンの高級感のある歯科医院が流行ります。
しかし景気があまり良くない時はナチュラル系の癒し系歯科医院が流行るんですね。
これはどの業界でも共通して言えます。
そしてオリンピックが始まるぐらいの時をイメージして、
いろいろなデザインや構想を考えて行くと、
どうしてもホスピタリティーと言うキーワードに行き着くのです。
なので、大胆な配色が特徴の歯科医院だったのですが、
内装工事を機に、ホスピタリティーへ舵を切りました。
優しさを演出する木目と、また高級感を醸し出す間接照明を
ふんだんに入れ込むようにしました。
出来上がったものを見て先生が一言
「前からこんなデザインみたいだったように感じます」
「すごく、しっくりきますね。」と。
また、このシルバーの受付カウンターは10年前に作った物をそのまま流用しています。
10年前に少しコストをかけていただき、
当社の「20年使っても大丈夫」な別注家具を買っていただきました。
だからこそ新しい歯科医院でも古さを感じずそのまま使え、
コストも下げることが出来ました。
先生の夢を描いたり形にする。
夢を叶えるお手伝い。
と言うだけではなく、先生の未来を考え、そして最終的にどうするのが1番得なのか?
そいうことを考えるのも私たちの仕事であると思います。