歯科医院の後継者問題を解決するのは誰に継がせるか？ではなくどんなビジョンを継承するか？という視点が大切です。

歯科医院が過剰だ！という報道や、コンサルタントなどが不安を
煽るようなことを言っていることは多いのですが、その根拠は
説明されることもなく、みなさんこぞって言うことはコンビニよりも
多いということくらいです。

しかし、美容室は約25万軒ほどあり、コンビニも5倍ほどあります。

ですが、過剰だ！と言うことは歯科医院ほど言われていません。

それよりも歯科医院での一番大きな悩みは、「後継者難」です。

実際に、
歯科医師のいない「歯科医療過疎地区」が全国で約１２００に上る。
また歯科医院は全国に約６万８千施設あるが、開業歯科医の４６.８％が
６０歳以上で、９割は後継者が決まっていないとされています。

ですので、あと5年以内には、歯科医院自体が減少していくという
試算もあります。

つまり、継ぐ人がいないから続けることができないということです

この後継者問題は今後も大きな悩みになっていくと思います。

子どもに承継や、院内で承継できればいいけど、
思っているような後継者がいないという方が非常に多いようです。

【誰に継がせるか？といった視点で考えているから
承継できる人が見つからない】

歯科医院に限らずに、事業承継が難航するところの多くは、
「人」で承継しようと考えています。

確かに、新たに任せるので「人」になるのですが、
誰に継がせるのか？を考えている場合は、どうしても感情で承継を
判断することになってしまい、好き、嫌いで判断してしまいます。

その視点で後継者を探していくとなかなか見つからなかたり、
親子の場合は揉めてしまうことも多くなるでしょう。

自分が立ち上げて今まで頑張ってきた歯科医院ですから、
自分が納得できる人を選びたいと思うことはよくわかります。

しかし、事業承継は、人で選んでは失敗します。

では、どのようにして選んでいけばいいのでしょうか？

【誰が継ぐか？ではなく「何を」継ぐか】

先生は、自分の歯科医院でのビジョンを決めていますか？

ビジョンとは、事業を通じて成し遂げたいことです。
あなたの歯科医院が将来に向けてどうありたいのか？を
明文化しているものがビジョンになります。

そのビジョンを決定するためには、
当然ですが、「治療方針」も大切になります。

治療方針があるから、
未来の自院のあるべき姿を描けるのだと思います。

そして、
このビジョンは自分の代で実現できなくても良いものであり、
２代、３代、４代でも、いつの日か実現させるものです。
誰が継ぐのかでは、この掲げたビジョンが変わってしまいます。

ですので、
何を継ぐか？というと、掲げたビジョンを継いでいくのです。

事業継承とは、ビジョンの継承です。

どんなビジョンを継承するのか？

ここがとても大切になります。

なので、院長が日頃どんなビジョンを掲げているのか？

そして、それをしっかりスタッフに浸透させているかが
後継者問題でも重要になるのです。

ビジョンが明確であれば、治療方針や内装などにも反映して
いきますから、自分が引退しても自分が掲げたビジョンは
継承され続けるわけです。

【後継者探しではなく、ビジョンに共感してくれる
スタッフの育成がこれからの歯科医院には必要】

後継者問題は今後さらに大きな問題となっていくでしょう。

その時に、後継者を探すという視点で探していては、
廃業か、売却しか先はありません。

売却したいという場合はそれでもいいのですが、ビジョンを
継承していけば、歯科医師の資格がなくても家族を経営者として
ビジョンを継がせていくことも可能になります。

お子さんが歯科医師でないのであれば経営を学ばせて、ビジョンを継ぐ
という選択肢もあり、視野は大きく広がるのではないでしょうか？
事業承継にはこのような考え方もあります。

ビジョンを継がせることを中心に考えていけば、
患者さんに対して何を伝えて、どんな治療をしていくのか？

そして、そのビジョンに伴った歯科医院の内外装のデザインも
必要になってきます。

もし、後継者の問題でお悩みでしたら、一度自分のビジョンは
何かを考えてみてもいいのではないかと思います。